仏蘭西少女 総括

ハッピーエンド(祝婚)を自力で見た後、一応全エンドを確認しました。
キモウト化は『微笑』エンドだけかと思ってましたが、舞子と敵対する『血闘』エンドもあったようです。
ここでの香純は恐ろしいほど有能。
まず、舞子から貰った薬で兄を監禁した後、舞子を家に呼んで兄を見せるのですが、
この際に「身内の見苦しい姿を見せたくない」という理由で付き人と引き離して密室に隔離する。
兄に盛った薬を混ぜたお茶を飲ませた後、相手の注意を兄にひきつけさせて背後から無言で刺突。
不意打ちが失敗した後は相手の間合いに入らず斬撃を繰り返して薬が体に回るのを待つ。
武器になりそうなものは事前に撤去するか釘で打ちつけておく……
付き人が現役殺し屋でなければ確実に殺せてましたね。実に冷静な狂い方です。
それでいて、言葉遣いはそれまでの礼儀正しい香純から一転して凶暴に。
「御義兄様を誑かす汚らわしい外地女がぁっ!!」
「御義兄様を穢す女は全て、私が殺します」

今まで「排除する」とか「処理する」みたいな表現を目にしたことはありましたが、
ここまでストレートな"兄に近づく女皆殺し宣言"は聞いたことないです。
『微笑』エンドは狂気より健気さが目立っていて物足りないものがあったのですが、
この『血闘』エンドの香純はキモウトと呼ぶにふさわしいキモさを持っています。
やはりキモウトは嫉妬全開で泥棒猫と戦うときが一番輝いて見えますね。


キモウトというほどではありませんが、『幸福論』エンドもなかなか。
ニートと化して屋敷も人手に渡り行く当てもなく放浪する主人公に
「自分は御義兄様の唯一の家族だから」とついてくる香純。
「血の繋がりもない義兄妹なのにか」
と嘲笑する主人公ですが、それでもついていきます。
そして、ニートの主人公を養うため香純が体を売る事に。
主人公はそれを押入れから覗き見して、その後香純を犯す毎日を送ります。
本当に最低ですねこの男……
一応、香純にこういう酷いことする理由も説明されていて
「僕は香純を誰にもやりたくない。でも妹だしこんなこと受け入れてくれるはずない。
 だから玩具にして無理矢理にでも僕の物にしたかった」
……だそうです。死ねばいいのに。
そんな生活が続く中、主人公の親友が訪れて香純を説得しようとしますが、
香純は自分は幸せだからここを離れたくないと言います。
「私には、もう何も要らないんです。御義兄様以外の何一つ要らないんです」
「御義兄様は私の稼ぎで生きてらっしゃる……
 御義兄様はお金のためとはいえ私を必要としてくださる……
 其れにいつも狭い部屋で御義兄様と一緒……息遣いも声も全て感じられます……
 体を殿方に売るときも見ていてくださる……
 御義兄様の視線を感じる……全てが嬉しいんです」

"ハッピーエンド"という言葉の定義について考え直してみたくなるエンドでした。


で、ハッピーエンドの『祝婚』なんですが、正直微妙でした。
ニートの主人公が真面目に働くようになったり、いい事もあるんですけどね。
何が微妙って、結婚する前に香純が一旦籍を抜けて親友の義妹になるんです。
世間体の問題なんでしょうが、結婚できることが取り得の義妹でそれはないでしょう…
それでも、香純がまだ「御義兄様」と呼んでくれたのでちょっと感激していたら……
主人公「もう御義兄様じゃないだろう?」
最後の最後までプレイヤーのやる気をデストラクションしてくれる主人公ですね!


結論:キモウトは最高だが主人公は最低。