春日野 穹

作品:ヨスガノソラ


春日野悠とは、双子の兄妹。
無口、無気力、引きこもり。
めんどくさがり屋で、悠に面倒ごとは任せて、全てを依存している。


近年ではCloverPointの夜々と双璧をなす妹。
2008年は前年に比べて妹不作だったため、早くから大きな期待が寄せられていました。
公式サイトのキャラ紹介で兄への依存が示唆されたため、キモウトとしての期待も大きく、
「メガネは殺される」「実は穹が両親を始末した」などという意見すら出ていたくらいでした。
後者は私です。


穹のキャラクターは人気がありますが、シナリオはあまり評価されていません。
しかし、穹の妹としてのリアルさは評価に値すると思います。
両親が共働きで長いこと妹の面倒をみていた私から見て、序盤から中盤にかけての穹は結構リアルです。
会話の頻度といい、内容と言い、距離感と言い、まるで本物の妹のよう。
面倒で、手間がかかって、でもそこが可愛いんですよ……。
リアルに妹を可愛がっている兄のツボを的確に刺激してくる素晴らしいシナリオだったと思います。
穹の成長も逃げずに書いていることも高ポイント。
妹は兄の知らぬ間に成長するものです。それが現実。
兄としては、いつまでも妹の面倒をみていたい。子どもでいてほしい。
成長を喜びながらも、そんな身勝手な感情を少しは持ってしまいます。
一方、穹は所詮二次元の存在です。悠に依存しきったままにしておくこともできたはず。
しかし、穹シナリオでは穹は悠の限界に気付き、成長しました。
(……結果として悠がかなり情けなくはなりましたが。)
これをもって、私は穹を単なる空想上の産物というだけでなく、血肉の通った"妹"とも感じることができたのです。


……さて、キモウトとしての紹介に移りたいと思います。
上で書いた"メガネ"というのは主人公・悠と穹の幼馴染である奈緒のこと。
二人の姉的な存在でもあり、昔は穹も懐いていました。
ところが、悠が田舎を離れる前、奈緒が悠を逆レイプしたことで全てが壊れてしまいます。
それをこっそり除いていた穹は衝撃を受け、奈緒を敵視するようになったのです。
穹の嫉妬も多くは奈緒に向けられたものです。奈緒ルート終盤ではバスで悠と逃避行をはかります。
本人ルートでも奈緒への敵意と嫉妬は健在。
奈緒が昔みたいに仲良くしたいと言えば、
「……昔みたいに……ハルとするの!?」
…と完全に喧嘩腰。
一方、悠に対しては
「私も同じことをすれば、好きになってもらえるの、かな…?」
悠を繋ぎ止めるために体を使うことも辞さない姿勢を見せます。
悠への依存、悠を失うことへの不安、悠への淡い恋心……
これらが一体となり、遂に二人は一線を越えてしまうのです。


「ねえ……だから、私だけを見て?」
「私は、ハルだけを見てる……」
「もっと好きになってくれたら、もう周りなんてどうでも良くなるから」

このように、くっついた後は更にハルへの依存が強まります。
他の人間は文字通り眼中になく、奈緒や委員長に二人の関係がバレたときも
「……ハル、どうしたの? ねぇ………続き……しよ……?」と平然としていました。
悠以外の人間を道端の石ころ程度にしか認識していないのでしょう。
先日紹介したピアニッシモの柚芭とは対照的です。
キモウトならではの腹黒さや邪悪さに欠けるためキモさが足りない感はありますが、
兄への依存度では他の妹の追随を許さない良依存妹でした。